12月9日、労働法学会の有志が厚労省記者クラブで会見をひらき、関西生コン支部に対する類例をみない弾圧事件について、「組合活動に対する信じがたい刑事弾圧を見過ごすことはできない」とする声明を公表した。会見には、吉田美喜夫(立命館大学名誉教授)、山田順三(中央大学名誉教授)、深谷信夫(茨城大学名誉教授)、毛塚勝利(元中央大学教授)ら労働法研究者が出席した。
関西生コン事件では昨年7月から1年4か月で、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の労働組合員と事業者が89人も逮捕され、起訴された者は70人近くにのぼる。武建一委員長は6回、湯川裕司副委員長は8回もくりかえし逮捕され、勾留期間は460日を超す。
この「関西生コン事件」について声明はまず、「労働組合運動を理由とする刑事事件としては、戦後最大規模」としたうえで、威力業務妨害や恐喝未遂事件とされているのが1年以上も前の日常的な組合活動であり、建設現場で法令の遵守を求める「コンプライアンス活動」も、産業別組合や職業別労働組合にみられる一般的な組合活動であると指摘。「労働者の労働条件の改善を求める行為や法令無視による不公正な競争を防止しようとする組合活動が、当該組合活動の正当性を判断されることもなく、違法行為とされ刑事処罰されるならば、憲法28 条の労働基本権保障も、労働組合法による組合活動保障も絵に描いた餅になってしまいます。」と重大な懸念を表明している。
そのうえで、「警察官や検察官には、憲法遵守義務を負っている公務員として、憲法28条の団結権・団体行動権の保障、その確認としての労組法1 条2 項の組合活動の刑事免責を踏まえて、適正な法執行に努めることを強く求めるとともに、裁判官には、労組法上の適格組合に対して、“反社会的集団”との予断をもつことなく、組合活動の正当性の有無を真摯に判断することを求めます。」としている。
よびかけ人は、当日の出席者のほか、浅倉むつ子(早稲田大学名誉教授)、石田眞(早稲田大学名誉教授)、緒方桂子(南山大学教授)、島田陽一(早稲田大学教授)、道幸哲也(北海道大学名誉教授)、西谷敏(大阪市立大学名誉教授)、浜村彰(法政大学教授)、脇田滋(龍谷大学名誉教授)、和田肇(名古屋大学名誉教授)ら歴代の労働法学会代表理事経験者をはじめとす24人で、賛同人は54人。異例の規模の広がりとなっている。
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