「ストライキで逮捕」を理由に懲戒解雇
5月14日、全日建の各地方代表が、一連の権力弾圧に便乗した理不尽な解雇に抗議する1日行動にとりくみ、新潟、関東、静岡、東海、近トラ、ゼネラルの各支部と関生支部が参加した。
ここは2017年12月の輸送ゼネストで不当逮捕された七牟礼副委員長らの職場。昨年9月18日、七牟礼副委員長ともうひとりの組合員が、宇部三菱セメント大阪港SS(出荷基地)でのストライキが威力業務妨害だとして逮捕されたのちの10月3日、2人を「懲戒解雇」したのだった。逮捕で会社の信用を汚したなどというのが理由だ。
ストの目的は運賃引き上げの約束を守れという、正当かつ道理にかなったものだ。しかも、刑事司法においては「推定無罪の原則」がある。逮捕され、刑事罰の嫌疑をかけられたからといって、それを理由にただちに解雇できるものではない。警察によるえん罪の可能性だってあるし、無実を主張して裁判で争う権利もあるからだ。
公務員の場合、起訴されると判決確定までは「起訴休職」になる。民間企業でもそれに準じた就業規則を定めているケースが多い。
ところがナニワ生コンは2人が逮捕された2週間後、起訴されていない段階で解雇した。暴挙というほかない。
大阪広域協組執行部への「忠誠の証」
解雇不当で争えば裁判や労働委員会でいずれ会社が負けるのはあきらかだ。それでも、ナニワ生コンと藤中社長が解雇を強行したのは次のような理由からだ。
藤中社長はスト直後まで大阪兵庫生コン経営者会(「経営者会」)の会長で、関生支部を含む労働組合側と大阪広域生コン協組との集団交渉の業界側代表を務めていた。中小企業と労働組合の協力関係による生コン業界再建運動の、業界側の旗振り役だったといってもいい。一昨年12月の輸送ゼネストで問題となった輸送運賃引き上げも、大阪広域協組を代表して「運賃引き上げは約束だから実施する」と過去3年の春闘交渉でくりかえし回答してきた。スト直後も労働側の言い分には道理があるという立場で事態の収拾に動いた。
しかし、大阪広域協組執行部はそんな藤中社長の行動をとがめ立てし、約束を守らない自分たちの非はそっちのけで関生支部との全面対決を打ち出す一方、同社の営業活動を事実上禁止するという見せしめ処分を決めた。「関生支部と手を切らないとこうなるぞ」というわけだ。
これに震え上がった藤中社長は「経営者会」の会長をすぐさま辞職し(その途端、大阪広域協組は処分を取り消した)、掌を返したように関生支部つぶしの先兵となった。七牟礼副委員長らの懲戒解雇は、つまり、ナニワ生コン藤中社長による大阪広域生コン協組執行部への忠誠の証というわけなのだ。(このあたりの詳しい経緯は『ストライキしたら逮捕されまくったけどそれってどうなの?』 59~61ページを参照)
大阪広域協の組合つぶしに便乗する吉田生コン、コタニ運輸
吉田生コン(奈良市、吉田桃子社長)の場合もそうだ。風向きが大阪広域協組に有利だとみるや、奈良の業界安定のために関生支部との協力関係を維持してきた立場をあっさり捨てた。広域協執行部と連絡を取り合い、連休前の4月25日、組合員4人に唐突に解雇を通告した。「子犬をミキサー車の助手席に乗せていた」などという愚にもつかないこと、しかも7年前も前のことなどが理由だ。
さらに、コタニ運輸も、労使協定で労組専従活動を認めているのに、ミキサー車に乗務していないなどという理由で解雇。どちらの企業も大阪広域協組の組合つぶしに便乗した解雇であることはあきらかだ。吉田社長は広域協組執行部と連絡をとりあっていた事実が判明している。
5月14日、各支部代表が抗議に向かうと、吉田生コンの工場内には大阪広域協組の面々が待ち構えていた。社屋の屋上では三脚を立ててビデオ撮影の用意までしていたのだから、ご苦労なことというか、まったく馬鹿げたお話しだ。
ナニワ生コン、吉田生コン、コタニのような弾圧に便乗した組合つぶしは決して許さない。連帯ユニオンはこの日を第1弾と位置づけ、今後も全国の仲間が解雇撤回にむけた統一行動をつづけていく。