4月11日(木)午後、関西地区生コン支部の武委員長と湯川副委員長の2人がみたび逮捕された。昨年8月に逮捕された2人の勾留期間はすでに8か月となるが、4月初めには接見禁止がようやく一部解除され、アクリル板越しとはいえ仲間との対面が可能になったばかり。このままいけばもうじき保釈というタイミング。さらにいえば、週明けの「関西生コンを支援する会」結成を控えてのことだった。
しかも、被疑事実は「恐喝」というものなのだが、どうみても事実を歪曲して仕立て上げたえん罪。連帯ユニオンは以下のような抗議声明を出した。
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2019年4月12日
抗議声明
全日本建設運輸連帯労働組合
中央執行委員長 菊池 進
全日本建設運輸連帯労働組合
近畿地方本部
執行委員長 垣沼 陽輔
全日本建設運輸連帯労働組合
関西地区生コン支部
執行委員長 武 建一
4月11日、滋賀県警組織犯罪対策課が、関西地区生コン支部の武建一委員長と湯川裕司副委員長の2人を「恐喝」容疑で逮捕するという、あらたな権力弾圧事件がおきた。
被疑事実は現時点では明らかではない。だが、ふたりが逮捕されたのは昨日の昼前後なのに、なぜか産経新聞はいち早く同日の朝刊で「関生支部トップ 再逮捕へ」と大きく報じていた。この間の一連の弾圧事件報道がそうであったように警察が同紙にだけ事前リークしたのだろう。それによると「工事現場での嫌がらせ行為をやめる見返りとして、滋賀県内の生コンクリートの販売会社から(2015年5月に)現金1千万円を脅し取った」とされていて、それが警察が描く事件のストーリーのようである。
しかし、それが被疑事実だというのなら、まったくおかしな話である。当時、関生支部は運動のあらたな砦として会館建設を計画し、その資金カンパをよびかけていた。そして、組合員はもとより、共闘・協力関係にある多くの労働組合や中小企業、市民運動団体などがカンパに応じてくれた。そうやって2015年12月に竣工したのが現在の「学働館」であり、多くの労働組合や市民運動のさまざまな会合や文化行事などに活用され、地域の拠点としての役割を立派にはたしている。被害者とされる生コン販売会社も、そうした資金カンパに応じた中小企業の1社なのだが、しかし、同社のカンパは、関生支部がよびかけ、それに対して同社が応じたものではなく、同社のほうから提供の申し出があったものなのである。どうしてそれが「脅し取った」とか、「嫌がらせ行為をやめる見返り」などという話にすり変えられ、逮捕されねばならないのであろうか。
滋賀県警や大阪府警は昨年8月以降、ストライキを「威力業務妨害」、建設現場の法令違反を告発するコンプライアンス(法令遵守)活動などの産業政策運動を「恐喝未遂」、さらにはビラまきまで「威力業務妨害」だとして、競い合って不当逮捕をくりかえしてきた。ほんらいは罪に問うことなどできるはずもない正当な組合活動なのに、それらを、刑事免責を核心とする労働基本権を定めた憲法28条や労働組合法1条2項を無視することによって、つぎつぎと「事件」に仕立て上げてきたのである。今回の不当逮捕もそれらと同じ手法による暴挙、しかも事実関係を歪曲したえん罪というほかない。
また、この逮捕劇はふたりとも保釈寸前というタイミングで実行された。ふたりの不当な勾留期間はすでに8か月にも及んでいるが、大津地裁における裁判が回を重ね、勾留継続の理由がなくなった警察・検察が、ともかくふたりを監禁しつづけるために強行したものといわざるをえない。
さらに、急速な広がりをみせだした不当弾圧許すなの運動に冷や水を浴びせるねらいもあるだろう。いま権力弾圧の標的とされているのは全日建関生支部である。しかし、この弾圧は関西という地域の個別の労働組合に対する攻撃というにとどまらず、警察・検察・裁判所が一体となった労働者・労働組合の労働基本権へのあからさまな挑戦であり、「共謀罪のリハーサル」ともいうべき危険な側面をもっている。そんな認識と怒りの声が、この間、全国各地の労働組合、市民運動、議員、政党などに急速に広がりつつある。そして、週明けの4月15日(月)には、著名人のよびかけで、いよいよ全国規模の支援組織が結成される。こうした運動の拡大を阻止するために、ともかく関生支部の信用を貶めたいというのが滋賀県警の目的にちがいない。
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現在、昨年8月からつづくのべ56人もの大量逮捕と42人もの起訴によって、大別すると、①湖東協組事件(大津地裁)、②大津協組事件(大津地裁)、③宇部三菱大阪港SS・中央大阪生コン事件(大阪地裁)の3つの刑事事件が進行中である。①と②は関生支部の産業政策活動(これにともなうビラまき)を恐喝未遂や威力業務妨害とした事件、③は賃上げ原資の運賃引き上げの約束を守れと要求したストライキを威力業務妨害とした事件である。わかりにくいのは、滋賀県警・大津地検・大津地裁がひとつの事件を細切れにして逮捕~起訴~新たな逮捕~起訴と異様な弾圧を重ねており、大阪府警・大阪地検・大阪地裁も3回にわけて逮捕~起訴をくりかえしてきたことから、非常に複雑な訴訟係属になっているため、同じ証人が何度も何度もくり返し尋問されるということになっているという点である。
その結果、来月5月~7月はじめにかけて、大津地裁で13回、大阪地裁で6回、わずか2か月間でじつに19回もの刑事裁判の公判日程が組まれている。
大津地裁 大阪地裁 内容
5月 8日 ○ (委員長ほか3名)
9日 ○ (委員長ほか3名)
15日 ○ (大阪第1次弾圧・B副委員長ほか7名)
21日 ○ (委員長ほか3名)
22日 ○ (大阪第1次弾圧・B副委員長ほか7名)
23日 ○ (A執行委員ほか2名)
24日 ○ (委員長ほか3名)
27日 ○ (大阪第2次弾圧・委員長ほか2名)
28日 ○ (A執行委員ほか2名)
6月 3日 ○ (A執行委員ほか2名)
5日 ○ (委員長ほか3名)
6日 ○ (A執行委員ほか2名)
7日 ○ (委員長ほか3名)
19日 ○ (大阪第1次弾圧・B副委員長ほか7名)
21日 ○ (大阪第1次弾圧・B副委員長ほか7名)
25日 ○ (湖東協ビラまき弾圧事件第1回10名)
26日 ○ (委員長ほか3名)
28日 ○ (委員長ほか3名)
7月 5日 ○ (大阪第1次弾圧・B副委員長ほか)
このほかにも弾圧の発端となった大阪広域生コン協組による大量の不当労働行為(関生支部の組合員には仕事をさせない)に対する不当労働行為救済申立事件などが20件以上もある。
こうした日程をみれば、この権力弾圧がどれだけ過酷な攻撃であるか、組合と組合員、そして担当弁護団がどれほど打撃を受けているかが一目瞭然でわかるであろう。もはや権力と資本が一体となった集団リンチの様相を呈しているといっても過言ではない。
しかし、われわれが膝を折ることは決してない。われわれは、各地の力強い支援の動きに励まされつつ、一刻も早く仲間を取り戻すために組織の総力をあげる決意をあらためて表明するものである。
以上
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