3月20日、東海労働弁護団が、関生支部に対する権力弾圧に強く抗議する声明を出した。
声明は次のように指摘している。
「 恐喝や威力業務妨害等として指摘されている行為は、実態としては労働組合が通常要求を貫徹するために通常行う説得や教宣活動・ストライキに通常付随する程度のものでしかない。/かかる行為に対して逮捕及び長期間にわたる身体の拘束等を行うことが許されるのであれば、およそ労働組合が行う労働組合活動のすべてが事実上不可能となり、憲法の労働基本権保障は崩壊する。」
「本件は、治安の名に名を借りて憲法秩序の内実そのものを破壊しようとするものである。/かかる姿勢が看過されれば、労働者の権利は憲法・労働組合法成立以前の暗黒時代に押し戻される。我々は、かかる事態を絶対に容認できない。」
以下は声明全文。
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警察による全日建関西地区生コン支部に対する権力弾圧に対し強く抗議する声明
2019年3月20日
東海労働弁護団団長 後藤潤一郎
1 2018年7月以降、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下「関西生コン」という)に対する刑事弾圧が強まっている。大阪府警・滋賀県警・京都県警により現在までにのべにして50名をこえる組合員・組合役員を逮捕され、一部のものは長期の勾留に服し、また起訴されて刑事被告人たるを余儀なくされている。
2 起訴された組合員らについて成立するとされている犯罪は恐喝未遂や威力業務妨害等である。被告人の中にはあいまい不明確な「共謀」を理由として起訴されているものも多数存在する。
しかし、公訴事実を前提としてすら、これらの犯罪の実行行為があったとは到底評価できない。
各事件において、恐喝や威力業務妨害等として指摘されている行為は、実態としては労働組合が通常要求を貫徹するために通常行う説得や教宣活動・ストライキに通常付随する程度のものでしかない。
かかる行為に対して逮捕及び長期間にわたる身体の拘束等を行うことが許されるのであれば、およそ労働組合が行う労働組合活動のすべてが事実上不可能となり、憲法の労働基本権保障は崩壊する。
3 そもそも、憲法28条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利はこれを保障する」と定めるところ、これを受けて労働組合法はその1条で刑事免責の原則を定めている。したがって、仮に労働組合の活動が犯罪構成要件を充足するものであった場合であってすら、なお、その態様等に照らし刑事免責の適用の有無が慎重に検討されなければならない。
本件において、警察・検察がかかる慎重な検討を行った様子は全くうかがわれない。むしろ、警察・検察のこの間の姿勢を見れば、警察・検察はあえて憲法及び労働組合法の上記定めを無視し、労働組合に対する弾圧を当然視しているとしか評価できない。
4 以上のとおり、本件は、治安の名に名を借りて憲法秩序の内実そのものを破壊しようとするものである。
かかる姿勢が看過されれば、労働者の権利は憲法・労働組合法成立以前の暗黒時代に押し戻される。我々は、かかる事態を絶対に容認できない。
よって、東海労働弁護団は、かかる刑事弾圧に強く抗議し、この声明を発する。