10月6~8日、福島県の子どもの「保養」を支援する、「富士山のふもとプロジェクト」。連帯ユニオン静岡の報告と参加した家族からの感想が届いた。
福島原発事故から7年。原発事故による放射線被ばくはいまもつづく。「保養」支援は、子どもたちの体内線量を減らすために、県外で思いっきり遊ぶ機会をつくろうと各地でとりくまれている。
連帯ユニオン静岡は今年で5回目となる。題して「富士山のふもとプロジェクト」だ。
10月6日昼に東京駅に集合した福島の4家族はバスで富士宮へ。世間は3連休とあって渋滞も覚悟していたものの、混雑も無く午後4時まえには最初の目的地の白糸の滝へ無事到着した。
豪快に水が落ちる「音無の滝」のすごさに参加者たちは口を揃えて「オォー、スゲー」と驚き、細い水柱がたくさん並んで落ちる白糸の滝ではマイナスイオンを体中に浴びてみんなで深呼吸。落ち着いたところで白糸の滝をバックに記念撮影をして、1日目の行程は終了。宿舎へ。朝早くからの移動で疲れた様子なので、明日に備えて早めに休んでいただくことに。
2日目は、早めに朝食をすませてもらって「富士山こどもの国」にむけて出発。途中の南麓道路から間近に見えるきれいな富士山にみなさん興奮気味で車窓からパチパチと写真撮影。そうしているうちに目的地に到着。
開園と同時に家族そろって園内に入った。園内では、恒例となっているハロウィーンイベントが開催されていて、お化けにお菓子をもらった子どもたちはとてもうれしそう。家族ごとに目的の場所へと遊びに出かけていく。
名物のすすきの迷路では家族で迷い、池や川の放射線量が高いままの福島では食べることができないマスを釣る体験では、釣り上げたマスを塩焼きでモグモグと食べ、恐る恐る馬にまたがる乗馬体験や、初めてオールを持って漕ぐカヌー体験などで家族は大盛り上がり。
秋晴れの空の下で、開園から閉園の時間まで1日中楽しく遊ぶことができた子どもたちは大満足。一方、大人たちのなかには歩き疲れてぐったりのひともちらほら。全員が戻ったところで夕食会場に。
B級グルメで2度の優勝に輝いた富士宮やきそばやお好み焼き、お肉も食べ、しめはアイスクリーム。大人たちも子どもたちも大満足で、笑顔いっぱいの夕食となった。また、この席には今回カンパをいただいたパルシステム静岡の副理事長らの3名にも参加していただき、例年よりもたくさんのひとで交流を深めることができた。
最終日は、今年2月に完成した「富士山世界遺産センター」へ。螺旋状の通路を登りながら富士山の成り立ちや特徴など、流れている映像や展示物を見学したあと、向かいにあるお土産屋さんでお買い物をして東京駅にむけて早めに出発。渋滞もなくお昼すぎには無事に東京駅に到着。お別れの挨拶をしたあと、みなさん元気に福島への帰路につかれた。
天候にも恵まれ、事故や怪我などもなく無事に「保養」が終了できた。今後も労働組合としての社会的責任を果たすため、福島の子どもたちの体内線量を下げるため、この取り組みを継続して行きたい。ご協力していただいた各企業の皆様、まことにありがとうございました。
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「2018年富士山のふもとプロジェクト」に参加して
*良かったこと、楽しかったこと
スケジュールがゆったりしていたので、とてものんびり過ごすことができました。子ども達がすぐ仲良くなって、笑顔で過ごせたこと、最高でした。「こどもの国」でカヌーに乗ったり、ニジマスを釣って塩焼きにして食べたり、芋ほりをしたり、初めての体験ばかりで楽しかったです。富士宮焼きそばも激ウマでした。3日間のお天気にも感謝です。
*感想
息子と二人、2回目の参加になります。菊池さんには「大きくなったな」と言われ、以前にも泊まった宿舎に着くと、なんだか懐かしくホッとしました。
「こどもの国」では、真っ青な空にポッカリ浮かんだ白い雲、丘のてっぺんにある岩に立つ息子が両手を広げて立っている姿、とても印象的でした。
芝生の上に大の字になれること、釣った魚を食べられること。息子は「えっ!?釣った魚、食べられるの?」本気で聞いてきました。当たり前のことなのにな。
去年、福島県の桧原湖でワカサギ釣りをしたけれど、釣った魚は祖父母のところへ(原発から100km以上離れているが、事故翌年ワカサギから500ベクレル検出。現在は100ベクレルを下回り、一応解禁している)。川は釣りをする人が減り、荒れ放題。草ボーボーで川へ入ることさえできません。
この先、いつまで続くのかな。でも、孫の代になったら、忘れちゃって、釣った魚食べちゃうのかな。それとも良い薬が開発されて汚染物質が中和されるかな。いやいや、きちんと大人が教えないとダメでしょ。震災で起きたことを二度と繰り返さないように、風化させないようにしなきゃだめでしょ。
夜には星が輝き、虫の声が響き、夜が明けると今度は鳥の声が響きました。ふっと遠くを見ると富士山がいつも見守っている。川は飲めそうなぐらい透明の、川底の藻が見えるほど透き通った水が流れている。久しぶりにゆっくりと自然を感じることができました。そして、こんな自然豊かな場所、美しい状態のままで次の代に渡さなければいけないよね、絶対に、と改めて思いました。
もしかしたら、原発事故は「人間よ、もっと未来のことを考えろ。こんなに環境破壊してどうしてくれる。自分たちのことばかり考えるな」と言うことを教えるべくして起こった事故なのかも。なんてことすら、考えてしまいました。
最後に福島の子ども達のことを想ってくださる全ての皆様に感謝します。遠く離れていても、私達にはいつも寄り添ってくださる人達がたくさんいると思うと、心強く、どんなことがあっても乗り越えられる気がします。子ども達も自分がしてもらったこと、忘れずに生きてほしい。そして、いつか誰かのために、困っている人を助けてあげられるようになってほしいなと思います。もちろん、自分も。(2018.10.16 H・G)